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循環器疾患

心電図でVPC・PVCといわれたら|心室期外収縮の検査と受診目安

心電図のVPC・PVCと受診の目安を案内する、記録用ノートと腕時計のイメージ画像

健康診断や人間ドックの心電図に書かれた「VPC」「PVC」は、心室期外収縮という、心臓の下側の部屋(心室)から予定より早いタイミングで1拍が出る現象を指す用語です。VPC(ventricular premature contraction)とPVC(premature ventricular contraction)は同じものを指す呼び方の違いで、「心室性期外収縮」「期外収縮(心室性)」と記載されることもあります[3]。

VPC・PVCという所見自体が、心停止を意味するわけではありません。ただし「だから放っておいてよい」と一律に言えるわけでもなく、症状の有無・心臓の構造や働き・1日あたりの出現量をあわせて評価したうえで、どう付き合うかを決めていくのが標準的な考え方です[1]。

VPC・PVCとは何か——まず言葉を整理する

心臓は通常、右心房にある洞結節が号令をかけ、そのリズムに合わせて全体が収縮します。心室期外収縮では、この号令より先に心室側から余分な1拍が出てしまいます。すると次の正規の拍までの間隔がやや長くなるため、患者さん自身は「ドキンと強く打つ」「一瞬抜けた」「胸がつまる」といった感じ方をすることがあります[3]。

一方で、まったく自覚がないまま健診心電図で初めて指摘される方も多くいます。ここが重要な点で、自覚症状の強さと、医学的な重要度は必ずしも一致しません。「動悸が強い=危険」でも「何も感じない=安全」でもないため、感じ方だけで良し悪しを判断することはできません[3]。

「単発」「2連発」「VPC run」という表現について

報告書に「単発」「2連発」「連発」「VPC run」などと書かれていることがあります。runは続けて出ることを表す表現ですが、詳しい判定には実際の心電図の確認が必要です。おおまかには、期外収縮が1拍だけ出るか、2拍続くか、さらに続けて出るかという出方の違いを表した言葉です。

ただし、こうした呼び名そのものが将来の見通しを決めるわけではありません。実際の心電図波形の形、出ている速さ、続いた長さ、そのときの状況、そして心臓自体に病気があるかどうかによって意味づけは変わります[3]。連発の回数だけを取り出して「何拍以上だから危ない」「この分類だから安全」と機械的に断じることはできず、記録された波形そのものを医師が読むことが前提になります。ガイドラインでは、期外収縮の出方だけでなく、症状や心機能、背景の心疾患も調べて方針を決めます[1]。

どんな検査で何を確かめるのか

指摘された後の評価には、目的のはっきりした段階があります。

1)12誘導心電図

健診で使われる短時間の心電図です。期外収縮の波形の形や、他の心電図異常が隠れていないかを確認します。ただし短時間の記録なので、「1日を通してどれくらい出ているか」まではわかりません。

2)長時間の心電図記録(出現する割合の評価)

心室期外収縮の評価では、1日の総心拍のうち何%が期外収縮かという「バーデン(burden)」の把握が鍵になります。長時間の記録では、この割合や時間帯ごとの出方、連発の有無を調べます。日によって出現量が変わるため、必要に応じて複数日にわたる記録を検討します[1]。1回きりの短い心電図の数え上げだけでは、この全体像は見えません。

3)心臓超音波検査(心エコー)

心室期外収縮そのものよりも、背景に心臓の病気がないかを確認する目的が大きい検査です。心筋梗塞の後や心筋症など、構造的な心疾患があると評価の重みが変わります[3]。また、心臓のポンプ機能(左室機能)が保たれているかどうかも確認します[1]。

4)追加の画像検査など

必要と判断された場合に限り、より詳しい画像検査が検討されることがあります。ただしこれはすべての人に一律で行うものではなく、所見や症状に応じて医師が選択するものです[1]。同様に、誰もが長期間の連続記録を受けなければならない、というわけでもありません[1]。

リスクをどう見積もるのか

ガイドラインの考え方では、無症状で、特発性(=明らかな基礎心疾患のない)心室期外収縮があり、左室機能が正常であれば、まずは経過観察が基本とされています。この判断の前提として、出現量、連発の有無、構造的心疾患の有無を評価し、その後も定期的に心機能を確認していきます[1]。

一方、期外収縮の出現量が多い状態が続く場合には、心筋症との関連が指摘されています[1]。ここで注意したいのは、「何%までなら絶対安全」「何%を超えたら自動的にカテーテル治療」という単純な線引きはないという点です[1]。数値はあくまで判断材料の一つで、症状、心機能、基礎疾患、そして患者さん自身の希望を含めた臨床的な文脈のなかで方針が決まります[1]。

経過観察になった場合/相談が必要な場合

心機能が正常で自覚症状もない場合は、定期的な確認を続ける形になることが多く、その間隔も画一的ではなく個別に設定されます[1]。

これに対して、動悸などの症状が日常生活の妨げになっている、出現量が多い、心機能の低下が見つかった、といった状況では、薬物治療やカテーテル治療といった選択肢について、それぞれの利益と負担・リスクを医師と具体的に話し合う段階に入ります[1]。どちらを選ぶかは、検査結果と本人の考えを突き合わせて決めるものです。

生活面でできること、できないこと

背景に心臓の病気がない心室期外収縮では、睡眠不足やストレス、疲労が引き金として関わることが知られています[3]。生活リズムを整える、過度の飲酒を控える、喫煙をやめる、といった調整は、心臓だけでなく全身にとって理にかなった対応です。

コーヒーについては、健康な成人100人(平均39歳)を対象に、コーヒーを飲む日と避ける日を14日間にわたって割り付けた研究があります。この研究では主要な評価項目は心房期外収縮で、心室期外収縮は副次的な項目として、コーヒー摂取日に多い傾向が報告されました[2]。

ただし、心室期外収縮については複数の比較の影響を調整していない副次評価で、今後の研究につなげる段階の結果です。短期間の健康な成人の試験から、心疾患がある方の長期的な危険や、全員がコーヒーを禁止すべきかまでは分かりません[2]。飲んだ後に動悸が気になる場合は、その状況を医師に伝え、控え方を相談するとよいでしょう。

なお、マグネシウムやカリウムのサプリメントを自己判断で始めることは、ここでは勧められません。また、現在服用中の薬を自分の判断で中止・減量しないでください。変更が必要かどうかは処方している医師が判断します。

救急を考えるべきサインと、受診時の準備

次のような症状が現在進行形である場合は、記録や準備を優先せず、ためらわず119番へ連絡してください[4]。

  • 強い胸の痛みが続いている
  • 突然の息苦しさ
  • 意識がもうろうとする、反応がおかしい

また、いったん意識を失ったが今は回復している場合や、運動中・労作時のめまい・ふらつきがある場合は、回復したからと放置せず、速やかに医療機関へ相談してください。

緊急性がない場合の受診では、次のものを持参・整理しておくと診察が具体的になります。

  • 健診結果票と、手元にあれば実際の心電図波形の記録やコピー
  • 症状が出た時刻、続いた時間、そのときの活動内容、どんな感じ方だったか
  • 現在服用中の薬やサプリメントの一覧
  • 若くして突然死した血縁者がいるか
  • これまでに指摘された心臓の病気の有無

よくある質問

Q1. VPCとPVCは違う不整脈ですか?

同じものです。どちらも心室期外収縮を指す略語で、記載する医療機関や報告書の書式によって表記が異なるだけです。「心室性期外収縮」と日本語で書かれることもあります[3]。

Q2. 「単発が1つだけ」と書かれていれば安心してよいですか?

単発か連発かという記載だけで見通しが決まるわけではありません。実際の波形、出ている速さや持続、そのときの状況、そして心臓に基礎疾患があるかどうかが判断に関わります[3]。また、短時間の心電図では1日全体の出現量までは把握できないため[1]、記載された文言だけで自己判断せず、報告書を持参して相談することをおすすめします。

Q3. コーヒーはやめたほうがよいですか?

一律にやめる必要がある、という根拠はありません。健康な成人を対象とした14日間の研究で、副次的な評価項目として心室期外収縮が増える傾向が示されましたが、これは仮説を立てる段階の知見で、心疾患のある方を含めた一般的な禁止の根拠にはなりません[2]。動悸が気になる方が試しに控えてみて、変化があるかを観察し、その結果を診察時に伝えるという使い方が適しています。

受診について

丸岡医院(山形県酒田市)では、心電図の指摘や動悸について、まず内科で相談できます。健診結果の相談には、今回と過去の結果票をお持ちください。

内科の初診は予約なしで直接来院できます。受診方法や持ち物については、電話 0234-23-8166 へお問い合わせください。診察で追加の検査や専門の医療機関での評価が必要と判断した場合は、その進め方をご案内します。

※この記事は心室期外収縮に関する一般的な情報をまとめたものであり、個別の診断や治療方針を示すものではありません。ガイドラインや患者向け解説は集団に対する一般的な指針であり、特定の方の経過を予測するものではない点にご留意ください。実際の判断は、診察と検査結果に基づいて行われます。

参考文献

  1. 日本循環器学会/日本不整脈心電学会. 2024年JCS/JHRSガイドライン フォーカスアップデート版 不整脈の診断とリスク評価および治療.
  2. Marcus GM, Rosenthal DG, Nah G, et al. Acute Effects of Coffee Consumption on Health among Ambulatory Adults. N Engl J Med. 2023;388:1092–1100.
  3. 国立循環器病研究センター. 不整脈(患者向け病気解説).
  4. 厚生労働省. 上手な医療のかかり方「緊急性の高い症状」.

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