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消化器疾患

機能性ディスペプシアの治療期間は?入院の考え方と胃もたれの受診目安

胃もたれが続くときの治療期間と受診目安を紹介する、空の器と木のスプーンのイメージ

機能性ディスペプシア(FD)は、胃もたれやみぞおちの痛みなどが続き、症状を十分に説明する病気が見つからない状態です。治療効果を確かめる時期、症状が落ち着くまでの期間、入院の日数はそれぞれ異なります。一律に「何日で治る」とは決められず、症状と治療への反応を見て判断します[1]。

胃もたれが続くときは、期間だけでなく、食事や水分が取れているか、体重が減っていないか、嘔吐や出血がないかも受診を考える手掛かりになります。

入院の日数は「機能性ディスペプシア」という病名では決まらない

今回参照した国内ガイドラインには、機能性ディスペプシアに共通する入院日数は示されていません[1]。入院が必要かどうか、必要な場合の期間は、診察・検査の結果や食事・水分の摂取状況などによって医師が判断します。

たとえば次のような状態は、機能性ディスペプシアと決めつけず、早めに診察を受けてください。

  • 水分も十分に取れない
  • 吐き続けている
  • 体重が減ってきている
  • 食べ物が飲み込みづらい
  • 吐いたものや便に血が混じる、または便が黒い

体重減少、繰り返す嘔吐、出血、飲み込みづらさは、ガイドラインでも別の病気を調べる手掛かりとして挙げられています[1]。食事や水分を取れない状態も含め、診察では症状の経過と全身の状態を確認します。入院を想定して日数を調べるより、まず現在の状態を伝えて必要な対応を相談してください。

また、突然の強い息切れや呼吸困難、持続する強い胸の痛み、立っていられないほどのふらつき、吐血、黒い便や血便、持続する激しい腹痛といった重い急性症状がある場合は、通常の外来を待たず、迷わず119番に連絡してください。厚生労働省も、こうした症状を救急要請の目安として案内しています[3]。「胃もたれだと思っていた」という症状でも、程度が強い、急に始まった、いつもと明らかに違う、と感じるときは救急の対象になり得ます。

機能性ディスペプシアとはどんな状態か

続く症状の特徴

機能性ディスペプシアでは、次のような症状が続きます。

  • 食後の胃もたれ(食べたものがいつまでも胃に残っている感じ)
  • 少しの量で満腹になり、それ以上食べられない
  • みぞおちの痛み
  • みぞおちの灼熱感(焼けるような感じ)

診察と必要な検査を通じて、症状を十分に説明する潰瘍などの病気がないかを確認したうえで判断します。機能性ディスペプシアと自己判断して、検査が不要と決めることはできません[1]。

「気のせい」でも「ストレスだけ」でもない

ガイドラインでは、機能性ディスペプシアの症状には複数の仕組みが関わると説明されています。食事のときに胃の上部がうまく広がらない(適応性弛緩の障害)、胃の内容物を送り出す動きが遅い(胃排出遅延)、胃の膨らみや酸などの刺激を感じやすくなっている(内臓知覚過敏)など、胃の広がり方や動き、刺激の感じ方に関わる要因が挙げられています[1]。

大切なのは、これらのうちどれが関わっているかは人によって違い、全員の胃の動きが遅いわけではないという点です。心理的なストレスが症状に影響することはありますが、ストレスだけで説明できる病気ではありません。症状は実際に体で起きていることであり、「気のせい」と片付けるものではありません。

検査はどのように選ばれるか

「機能性ディスペプシアかどうか調べるには胃カメラが必ず必要」と思われがちですが、ガイドラインでは、必要な検査は年齢、症状の内容、これまでの病歴、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ:胃に住みつき、胃炎や潰瘍の原因になる細菌)の感染の有無、過去の検査歴などを踏まえて判断するとされており、全員に内視鏡検査が必須というわけではありません[1]。

一方で、前の項目で挙げた体重減少、繰り返す嘔吐、出血、飲み込みづらさなどがある場合は、別の病気の可能性を調べるために検査を優先する判断になります[1]。検査を受けるかどうかは、症状だけで自己判断せず、診察で医師に相談してください。

診察の際には、次のような情報を伝えると、検査や治療の判断に役立ちます。

  • 症状がいつから続いているか、どのくらいの頻度か
  • 食後に強いのか、空腹時にもあるのか
  • 体重の変化、嘔吐、血が混じる、飲み込みづらさの有無
  • 以前に受けた胃の検査やピロリ菌の検査の結果と時期
  • 現在飲んでいる薬(痛み止めを含む)
  • 家族に胃の病気の方がいるか

なお、ガイドラインは「診断まで何か月も待つ」ことを求めているわけではありません。症状がつらい、または気になる所見がある場合は、期間にかかわらず受診して構いません。

治療の見直しの目安と「治るまで」の違い

4〜8週は「見直しの時期」の一つの目安

ガイドラインでは、治療の効果が不十分なときに治療の変更を検討する目安として、およそ4〜8週という時期が示されていますが、これは今後の研究でさらに検証が必要な事項として扱われています[1]。この期間は、治療を続けてよいか、別の治療に切り替えるかを医師が判断する一つの目安であって、症状がなくなるまでの期間や、入院する日数、初めて受診するまで待つべき期間ではありません。

薬の臨床試験でも、数週間の投与で症状の変化を評価する方法が使われます。たとえば食事に関連した症状を持つ機能性ディスペプシアを対象とした臨床試験では、4週間の薬の投与とその後4週間の観察で症状の変化を評価しています[2]。ただし、これはあくまで薬の効果を評価する期間であり、それが治る期限を意味するわけではありません。

機能性ディスペプシアは、いったん落ち着いても再び症状が出ることがあります。そのため、全員が一定の期間で治療を終えられるとは言えません。治療への反応が乏しいとき、症状の性質が変わったとき、新しい症状が加わったときは、診断や治療の再評価が必要です[1]。

待たずに相談してほしいこと

次の場合は、4〜8週という目安にかかわらず、早めに相談してください。

  • 症状が悪化している
  • 薬を飲み始めてから、体調の変化や副作用と思われる症状がある
  • 前の項目で挙げた体重減少、嘔吐、出血、飲み込みづらさなどが出てきた

症状日誌をつける

治療の効果や見直しの判断には、症状の変化を客観的に伝えることが役立ちます。毎日でなくても、次のような点を簡単にメモしておくと、診察で伝えやすくなります。

  • 症状が出た時間帯と、食事との関係
  • どんな食事や状況で悪化したか(脂っこい食事、食べ過ぎ、睡眠不足など)
  • 症状の強さのおおまかな変化
  • 薬を飲んだタイミングと、その後の変化
  • 体重の変化

日常生活でできること

食事や生活の調整については、ガイドラインでも触れられていますが、その根拠となる試験は限られており、万能な方法があるわけではありません[1]。一般的には、食べ過ぎを避けて少量に分けて食べる、脂っこい食事で悪化するなら量や頻度を調整する、といった対応が試みられます。何で悪化するかは人によって違うため、日誌などで自分の傾向を把握することが出発点になります。

特定の食品を厳しく制限する除去食や、全員に一律にカフェインを禁止するといった方法は、根拠が十分ではありません。「○日で治る」といった期限を約束する情報にも注意してください。

薬による治療

薬は、症状の内容に応じて、胃酸の分泌を抑える薬や、胃の働きを調整する薬などの中から医師が選択し、効き方を見ながら調整します[1]。どの薬をどのくらいの期間使うかは、症状の種類や反応、他に飲んでいる薬などによって異なり、一人ひとりに合う進め方を相談します。自己判断で市販薬を長く続けるより、症状が続くときは診察で相談する方が、見直しの判断がしやすくなります。

丸岡医院本院への相談について

山形県酒田市の丸岡医院本院では、内科・消化器内科で胃もたれ、みぞおちの痛み、食後の不快感などの相談をお受けしています。症状の経過や検査歴、飲んでいる薬などをお聞きしたうえで、必要な検査や治療の進め方を診察で判断します。診療内容は消化器内科の診療案内をご覧ください。

受診方法は受診案内をご確認ください。電話は0234-23-8166です。健診結果や過去の検査結果、お薬手帳、症状のメモがあると診察で伝えやすくなります。上に挙げた重い急性症状があるときは、通常の外来を待たずに119番へ連絡してください[3]。

参考文献

  1. 日本消化器病学会. 機能性消化管疾患診療ガイドライン2021―機能性ディスペプシア(FD). 改訂第2版. 公式ページ、PDF(2026年9月20日確認。本記事では胃運動と適応性弛緩などの機序、BQ3-1、CQ4-1、FRQ4-4、BQ5-1の記載を参照)
  2. Matsueda K, Hongo M, Tack J, Saito Y, Kato H. A placebo-controlled trial of acotiamide for meal-related symptoms of functional dyspepsia. Gut. 2012;61(6):821–828. DOI: 10.1136/gutjnl-2011-301454. PMID: 22157329. PubMed(抄録の方法・結果および利益相反の記載を確認。著者の一部が製薬企業の社員または助言者であることが開示されている)
  3. 厚生労働省. こんな時は迷わず119へ. 上手な医療のかかり方

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