いびきが大きい、寝ている間に呼吸が止まっていると家族に言われた、日中の眠気がつらい。こうしたサインは睡眠時無呼吸症候群(SAS)を疑うきっかけになりますが、症状だけでは診断が確定しません。この記事では、症状で判断できない理由、自宅でできる簡易検査と精密検査(PSG)の違い、簡易検査の結果が低くても再評価が必要になることがある理由を、酒田市の丸岡医院(本院)で受診を考えている方に向けてまとめます。
丸岡医院本院では内科の初診に予約は不要で、直接来院または電話(0234-23-8166)でご相談いただけます。検査の具体的な進め方は診察時に決めます。
症状だけで診断できない理由
いびき・呼吸停止・眠気は「受診のきっかけ」
大きないびき、家族が気づいた呼吸の停止や息苦しそうなあえぎ、日中の強い眠気は、SASの評価を始める根拠になります。ただし、これらは睡眠中の呼吸を実際に測ったものではないため、症状の有無や強さだけでSASと判断したり、逆に否定したりすることはできません [S1]。
いびきがあっても呼吸は保たれている人もいれば、いびきが目立たなくても呼吸イベントが多い人もいます。眠気も、睡眠不足や他の病気、薬の影響で起こることがあります。
質問票やスマートフォンアプリの位置づけ
眠気の質問票や市販のウェアラブル機器、アプリは、気づきの手がかりにはなりますが、診断を確定するものではありません [S1]。「アプリで問題なしと出たから大丈夫」と考えるのは避けたほうがよく、症状が続く場合は医療機関で検査を受ける判断が必要です。
閉塞性と中枢性の違い
SASには大きく二つの型があります。閉塞性は、眠っている間にのどの空気の通り道が狭くなったり閉じたりして呼吸が止まるものです。中枢性は、脳からの呼吸の指令そのものが一時的に弱まるものです。どちらか、あるいは両方が混ざっているかによって考える対応が変わるため、検査で呼吸の止まり方を区別することが重要です [S1]。
睡眠時無呼吸症候群の検査の種類
簡易検査(自宅で行う検査)
自宅で機器を装着して眠り、鼻の気流や血液中の酸素の状態などを記録する検査です。入院せずに普段の環境で測れる点が利点です。
一方で、一般的な簡易検査機器は「眠っているかどうか」を記録しません。そのため呼吸イベントの回数を、実際に眠っていた時間ではなく、機器を装着して記録していた時間で割って計算します [S1]。この計算方法の違いが、次に説明する「結果の見え方」に影響します。
精密検査(PSG:ポリソムノグラフィ)
PSGは、脳波や眼の動き、筋肉の緊張などから睡眠の状態を記録しながら、同時に呼吸の様子を測る検査です。実際に眠っていた時間をもとに呼吸イベントの頻度を計算でき、呼吸の乱れに伴う短い覚醒も捉えられます [S1]。簡易検査より多くの情報が得られます。検査場所や入院の要否は、検査を行う医療機関に確認します。
記録時間と実際の睡眠時間の違いが意味すること
簡易検査では、寝つけずに起きていた時間や夜中に目が覚めていた時間も「記録時間」に含まれます。睡眠中の呼吸イベントを評価する際に、起きていた時間まで分母に含めると、1時間あたりのイベント数は実際より少なく見える可能性があります。また、呼吸の乱れに伴う短い覚醒は、睡眠を記録していない機器では見逃されることがあります [S1]。
つまり、簡易検査の数値が低く出た場合でも、重症度を実際より軽く見積もっている可能性を考慮する必要があります。
簡易検査で「低い結果」でも再評価が必要になることがある理由
簡易検査の結果が低い、あるいは異常なしとされても、いびきや呼吸停止の目撃、強い眠気などから臨床的にSASが疑われる場合には、それだけで病気を否定することはできません [S1]。その夜の睡眠が浅かった、機器が外れていた、覚醒を伴う呼吸イベントが検出されなかった、といった要因で結果が過小になりうるからです。
そのような場合は、より詳しい検査(PSGなど)を検討することが勧められています [S1]。ただし、すべての人が「簡易検査の次は必ず入院検査」という同じ順序をたどるわけではありません。症状、既往、簡易検査の質と結果を踏まえて、次に何をするかを個別に判断します。
丸岡医院本院ではSASの検査を行っていますが、どの検査をどの順で進めるか、精密検査が必要な場合の連携先などは、診察でご相談のうえ決めます。
受診の目安と緊急時の対応
こんなときは早めに内科へ
- 家族や同室の人から、睡眠中に呼吸が止まっている、あえぐような呼吸をしていると言われた
- 大きないびきが続き、朝の頭痛や熟睡感のなさがある
- 日中の眠気が強く、会議中や食後、待ち時間などに眠り込んでしまう
- 高血圧や心臓・脳血管の病気があり、いびきや眠気を指摘されている
これらは受診を検討する目安であり、いくつ当てはまれば必ずSASという基準ではありません。気になる症状があれば、内科の診察で相談してください。本院の内科案内と睡眠の悩みの相談案内をご覧ください。
強い眠気があるときの運転について
日中に強い眠気を感じている間は、運転を控え、できるだけ早く評価を受けることをおすすめします。
息苦しさや意識の異常があれば119番
急に強い息苦しさが出た、呼びかけへの反応が鈍い・意識がはっきりしないといった場合は、SASの検査を待たずに119番で救急要請してください [S3]。これは睡眠時無呼吸の一般的な受診とは別の、緊急対応が必要な状況です。
受診前に整えておくとよいこと
初診の診察がスムーズになるよう、次の情報をメモしておくと役立ちます。
- 就寝・起床の時刻と、平日と休日の違い
- 家族が気づいた呼吸の停止やいびきの様子(いつ頃から、どのくらいの頻度か)
- 日中の眠気が出る場面(運転中、会議中、食後など)
- 現在飲んでいる薬の一覧(お薬手帳があれば持参)
- 高血圧、糖尿病、心臓や脳血管の病気などの既往
睡眠薬の使用や飲酒の習慣も診察で伝えてください。薬を自己判断で中止する必要はありません。
検査後の治療の考え方(一般的な位置づけ)
SASと診断された場合の治療は、型や重症度、体格、のどの形などによって選択肢が変わります。ここでは一般的な考え方のみ紹介します。本院で対応できる治療や、専門医との連携が必要かどうかは診察時に確認します。
CPAP(持続陽圧呼吸療法)
鼻や口にマスクを着け、空気を送り込んでのどの気道が閉じないようにする治療です。閉塞性SASに対して広く用いられています [S1]。
心臓や脳血管の病気をすでに持つ中等症〜重症の閉塞性SASの成人を対象にした海外の大規模試験(SAVE試験)では、CPAPを通常治療に加えても、心血管イベントの再発を有意に減らす結果は得られませんでした。一方で、いびき、日中の眠気、生活の質は改善しました。この試験の参加者は男性が多く、眠気が少ない人が中心で、1晩あたりのCPAP使用は平均3時間強にとどまっていました [S2]。
この試験では、症状や生活の質の改善が確認された一方、心血管病の再発予防効果は示されませんでした。参加者の特徴や使用時間に制約があるため、この結果だけで、すべてのSAS患者に心血管病の予防効果がある・ないと結論づけることはできません [S2]。治療の目的と続け方を担当医と確認します。
そのほかの選択肢
下あごを前に出して気道を広げる口腔内装置、体重管理、限られた条件での手術などがあり、いずれもSASの型や体の特徴に応じて適応が判断されます [S1]。どの治療が向いているかは検査結果をもとに決まるため、まず検査で状態を把握することが出発点になります。
よくある質問
簡易検査の数値が低ければ、もう心配しなくてよいですか
いびきや呼吸停止の目撃、強い眠気などがあるのに簡易検査で低い数値が出た場合、その結果だけで否定はできません。簡易検査は睡眠を記録しないため、実際より軽く見えることがあります [S1]。症状が続いていれば、再度相談してください。
家族に呼吸が止まっていると言われましたが、本人は眠気を感じません。受診したほうがよいですか
眠気の自覚がなくても、呼吸停止の目撃は評価を始める理由になります [S1]。自覚症状の有無にかかわらず、内科で相談することをおすすめします。
予約は必要ですか
丸岡医院本院の内科初診は予約不要で、直接来院または電話(0234-23-8166)でご案内しています。詳しくは受診・受付の案内をご覧ください。
検査結果はいつわかりますか。費用はいくらですか
検査の種類や進め方によって異なり、本記事で一律の日数や金額をお示しすることはできません。診察時にご説明します。
急に息が苦しくなった場合はどうすればよいですか
急な強い息苦しさや意識の異常は、SASの検査とは別に緊急対応が必要な状況です。ためらわず119番に連絡してください [S3]。
参考文献
- [S1] 日本呼吸器学会『睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020』。症状、PSG、簡易検査の限界、治療の項(本文22・31・37・43–44ページ)を参照。学会公開ページ・公開PDF。
- [S2] McEvoy RD, et al. CPAP for Prevention of Cardiovascular Events in Obstructive Sleep Apnea. N Engl J Med. 2016;375:919–931. DOI: 10.1056/NEJMoa1606599. PMID: 27571048。PubMed抄録を参照(本文・図表は未確認)。
- [S3] 厚生労働省「上手な医療のかかり方」緊急時の受診の目安。




